Case Study導入事例 詳細

札幌臨床検査センター株式会社様

キーワード:
  • BCP
  • IBMi データセンター
  • IBMi バックアップ
  • IBMi ミラーリング
  • 障害・災害対策

マシン不具合による業務停止の経験から改善されたBCP対策

札幌臨床検査センター株式会社様は、ビーティスが「QUICK-EDD」の取り扱いを始めた第1号のお客様です。
早くからIBM iデータの二重化を行われている札幌臨床検査センター株式会社様に、システムや運用面でのBCP(事業継続計画)対策についてお話を伺いました。

御社の情報システムの役割やシステム沿革等を教えてください。

「当社は、臨床検査ならびに公衆衛生に関する各種検査の受託および代行を行っています。この業界では、受託した検査内容によっては、さらに外部の専門機関に委託することが多いのですが、当社では、血液検査・病理・細菌・ホルター心電図といった広範囲にまたがる検査を行うことができるセンターです。
 情報システム部はシステム課と情報課で構成され、臨床検査システムのオペレーションと臨床検査システムのソフトウェアの開発・保守を16名体制で行っています。当社の主事業には臨床検査と調剤薬局があり、システム課では、主に臨床検査システムの開発と保守を、情報課では自社開発した臨床検査システムを使用し、病院業務の受付・検査結果・報告書や請求書作成等のオペレーション業務を担当しています。
 
 当社のIBM iユーザー歴は長く、40年近くになります。それ以前は他社ミニコンピュータと呼ばれるオフコンのようなマシンを使用していましたが、1984年にIBM社が当時最新のシステム38の全国キャンペーンのため札幌市の中島公園で実施していたデモに参加したことがきっかけでIBM iを使用することになりました。このデモの後、一ヶ月分の臨床検査データ(データベース)を保存したテープをシステム38へ復元するテストを行ったところ、次期更新予定の汎用機ではリストアに一日半以上かかったのに対して、システム38では4時間程度と圧倒的な差があり、すぐにIBM iへのリプレースが決定しました。」

BCPや対策の取り組みについて

東日本大震災以降BCP対策の意識が高まっていますが、御社のBCP対策についてお聞かせください。

「システム面でのBCP対策は、いくつか対策をとっています。例えば、東日本大震災後、当社が所在する地区も計画停電の区域に入り、2ヶ月の期間で1日2 時間の停電計画が発表されました。結局、計画停電は実施されませんでしたが、この計画停電の対策として発電機をレンタルして停電に備えました。翌年、停電は発生しうるリスクの1つと考え、無停電装置を導入して停電が発生しても2 時間はマシンが継続稼働できようにしました。
 その後、システムが停止してしまうと札幌市内だけではなく旭川や函館等、他拠点にある検査センターや営業所の業務にも影響が及んでしまうことから、マシン運用に対する対策として、IBM iを更新する時にマシンをデータセンターに移設し、BCP対策の強化を行いました。」

「QUICK-EDD」を導入したきっかけと選定ポイントを教えてください

御社では長く「QUICK-EDD」をご利用いただいておりますが、当初の導入きっかけ等を教えていただけますか

「QUICK-EDD導入前は、毎日、1日の業務終了後にデータをテープへバックアップする運用を行っていました。しかし、バックアップテープには前日の夜までのデータしかないため、この運用では日中にマシンが止まってしまうとバックアップ後からマシン停止までに発生したデータを復旧することができませんでした。マシン停止直前までのデータを復元したいことからHAツールを探し始めました。当初は他社のHAツールを検討していましたが、QUICK-EDD(当時の名称Bitis HA)では、更新データを時系列にシリアライズすることにより整合性のとれた安定したミラーリングが可能であることを聞きました。これは、当時の他社製品では行っていない方法で、最終的にはこれが決め手となってQUICK-EDDを選定しました。
 運用に対しては、QUICK-EDD導入第1号ユーザーということもお聞きしていたので、マシンリプレースのタイミングに合わせて導入、構築を行い、約半年の本番稼働前テストにより問題ないことを全て確認してから本番稼働を開始しました。QUICK-EDDを使用し始めて約10年ですが、大きな問題もなく順調に運用しています。
 一方、QUICK-EDD導入後もテープによるバックアップは現在でも毎日行い、1週間保管しています。HAツールだけに頼らず、別媒体によるバックアップもBCPの観点では重要と考えているからです。また、データセンターに設置したIBM iのマシン監視はデータセンターにより行っています。当社としては、人の目視による監視も非常に重要と考えています。」

IBM i 不具合による業務停止から改善したこと

基幹システムが運用停止した経験をお聞かせいただけますか

「2015年の某月曜日の朝、IBM iの電気系不具合によりマシン停止が発生しました。当社のシステムは、道内の複数の大手病院と繋がっています。月曜日の朝は、休み明けの受診を待った外来患者が多く、入院患者の検査も朝に行われるため、1週間のうちでも1番忙しい時間帯ですが、その時間帯にマシンが2時間以上停止する事態が発生しました。悪いことに、ハードウェアーの復旧にも予定以上に時間がかかり、バックアップ機への切替え判断が難しい要因も重なりました。このことをきっかけに、当社ではさらに対策の見直し、運用改善を行いました。
それまで、停止許容時間を2時間と設定していましたが、この時の影響を考慮して2時間では遅いという判断になり、停止許容時間を30分に設定し直しました。また、現在データセンターに本番機とバックアップ機を設置していますが、さらに別の系列病院にIBM iを1台設置し、バックアップ対策を強化しました。今後は、まもなくカットオーバーを予定しているもう1台のIBM iを当社内に設置して重要データをミラーリングする予定です。(2017年11月時点)データのバックアップ対策の他にも、ネットワーク回線も二重化する対策を行いました。

 2015年に発生したことを教訓として、当社ではバックアップ体制や切替え判断等の運用を改善し、現在は、万全の体制をとっています。」

将来的な取り組みや課題等がありましたら教えてください

「QUICK-EDDを使用した全社的な切替え訓練が実施できていないことが課題としてあがっています。当社のシステムは24時間稼働しているため、訓練のために業務を停止するタイミングに限られる現状がありますが、実際マシン停止が発生したことを考えるとスムーズに切替えを行い、バックアップ機による本番業務が行えなければ意味がありません。そのためにも訓練は非常に重要と考えています。

 現在は、当社に設置するIBM iのサービスイン後にそのマシンを利用し切替え訓練を計画しています。訓練の実施により、切替えのスピードアップを図っていきたいと考えています。 IBM i以外での課題では、PCやPCサーバーのウィルス対策への強化も考えています。ウィルル対策自体は行っていますが、さらにトロイの木馬等の添付ファイルによるウィルス感染への対策として、偽メールを社員へ送信して添付ファイルを開いたユーザーを集計し、注意喚起するサービスも検討しています。こうしたサービスにより訓練を重ねることにより、社員一人ひとりの意識付けと注意を促していくことを視野に入れています。」

システム概要図
システム概要図

企業情報

名称  :札幌臨床検査センター株式会社

事業内容:臨床検査ならびに公衆衛生に関する各種検査の受託および代行
     臨床検査システム等のソフトウェアの販売・保守
     調剤薬局の経営および医薬品卸売一般販売
     食品衛生に関わる各種検査の受託および代行

URL:http://www.saturin.co.jp/

情報システム部
執行役員
畠山 隆史氏